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つくばアートスタジオたみやまプレオープンイベント事業 「プレ・プレイ!スタジオ・トライアル 」 審査結果の発表

つくば市では、創作活動を通じて新たな出会いが生まれる場として「つくばアートスタジオたみやま」(水守620)を開設します。12月から始まるプレオープンイベント事業「プレ・プレイ!」の一環として、つくば市での創作活動を希望する美術分野のアーティストを支援し、市民とアーティストが出会い交流する環境づくりを進めるため、3つの公募プログラムについて募集を行いました。

募集要項についてはこちらのページをご覧ください。

応募総数21件のうち、A招聘交流プログラムは9件、Bスタジオプログラムは3件、Cリサーチプログラムは9件の応募がありました。

全ての申請書類はつくば市と芸術文化の専門家による選考委員会内で厳正なる審査をおこない、下記の3件を採択いたします。

A 招聘交流プログラム

採択者名:袁方洲(えん・ほうしゅう)

利用期間 2027年2月5日(金)〜3月28日(日)

Aえん_プロフィール
Aえん_作品1
Aえん_作品2

活動内容:ガラスを素材として、人口と自然の境界や、物質が変化する過程をテーマとした作品制作を行う。スタジオ周辺の環境や地域文化、科学研究機関でリサーチを行い、物質としてのガラスを様々な視点で考察する。来館者との対話や、実施するワークショップの痕跡を作品へ反映させ、地域における交流そのものを作品生成のプロセスとして取り入れ、共有することを試みる。

プロフィール:中国遼寧省生まれ。2018年に清華大学美術学部工芸専攻を卒業後に来日し、2024年に東京藝術大学大学院で博士号を取得。現在は茨城に構えたアトリエで制作を行いながら、東京を拠点に活動している。約9年間にわたりガラス素材での制作を続けており、素材自体が持つ「意識」や「物性」に敬意を払いながら、焼成中に起こる変形や重力による作用といった偶発的な現象に深い関心を寄せる。身の回りの世界を観察し、記憶や体験を手がかりに、自然と人工のあいだに存在する“この世にない物質”を、ガラスという媒介で可視化・再構築する。

 

C リサーチプログラム(前期)

採択者名:保泉エリ(ほずみ・えり)

利用期間 2027年1月5日(火)〜1月31日(日)

C前期_保泉エリ_プロフィール

撮影:柳原良平

C前期_保泉エリ_作品

[参考画像] 保泉エリ《風のありさま》(2026)

撮影:小諸ZINEクラブ

活動内容:かつて筑波山にあり、現在は別の土地に移動したとされる仏像に着目し、土地を移動した彫刻と、いまの風景とをつなぎ直すプロジェクトを行う。元小学校であり、城跡や古墳群とも土地を同じくするなど、異なる時代の痕跡が重なるつくばアートスタジオたみやまを起点に、彫刻と土地・人々の記憶を調査し、「場所に残るもの/場所から移動するもの」を見つめる。

プロフィール:1996年広島県出身、東京都在住。筑波大学大学院博士後期課程芸術学学位プログラム在籍。アーティスト/キュレーター。既存の彫刻を起点に、その作り手や制作に関わった人々との対話を通じて、「素材の人体」と「生身の人体」の共通点や差異を問う作品を制作する。主な展示に、「KoMoro-Mori-More2026」(長野県小諸市)、「コンパスと遠近の囁き」(ギャラリー無量、富山県、2025年)、個展「プライベートパブリック」(callbox、東京都、2025年)、「Hiroshima MoCA FIVE 23/24」(広島市現代美術館、2024年)。

 

C リサーチプログラム(後期)

採択者名:好光義也×金沢慧(よしみつ・よしや×かなざわ・けい)

利用期間 2027年3月2日(火)〜3月28日(日)

C後期_好光×金沢_プロフィール

 

C後期_好光×金沢_作品

[参考画像] 好光義也『生産式』 2024年
場所:高地トレーニングスタジオSORELA 

コーディネート:野村眞人

活動内容:近隣のスポーツ施設で実際にトレーニングやプレーを行う様子を写真・映像・データ・記述によって記録する。また、地域の研究者や競技者との対話を行う。これらを通して、スポーツプレーヤー自身が、競技のなかで行う美的な判断について考察する。トークやワークショップを行い、身体表現芸術とスポーツデータ分析の観点から、身体運動においてどのような美的価値判断があるか来場者が体験する場をつくり、スポーツと芸術を文化的な営みとしてとらえるための、より深い議論につなげる。

プロフィール:身体表現を専門とする芸術家の好光義也と、スポーツや人事のデータ分析を専門とする金沢慧によるユニット。スポーツのプレーヤー自身が、競技時やトレーニング時に感じる「美しい」「良い」「かっこいい」に注目。自分たちを様々なトレーニング環境や競技環境に置き、データの測定・映像記録・記述などを通じて芸術作品を作ることを目指す。そこで得た知見を芸術にとどめず、スポーツ競技や遊びの現場に展開していきたい。

 

B スタジオプログラムについては、選考委員会内の基準に基づき審査を行った結果、該当者なしとなりました。しかしながら、「作品創作の場所を必要とするアーティストに創作室を提供する」というスタジオプログラム本来の目的に改めて立ち戻り、より開かれた機会を提供するため、抽選制によって利用アーティストを再公募いたします。
自宅では難しい大型作品の制作に挑戦したい、普段と異なる環境で活動しリフレッシュしたい、制作の様子を公開し市民と交流する機会をつくりたい、知らないアーティストと出会い創作のモチベーションを高めたい等、さまざまな立場で創作をおこなう方をサポートします。

公募期間

2026年9月18日(金)〜9月30日(水)

結果通知

2026年10月5日(月)

選考方法

希望する期間ごとに抽選

採択者数

前期:3組(個室利用1組、シェア利用2組)
後期:2組(シェア利用2組)

※個室…約64平米の教室を占有して利用いただけます。
※シェア…約64平米の教室を半分に分割し、2組のアーティストで利用いただきます。そこまで広いスペースでなくてもよい、他のアーティストとシェアすることで新たな刺激を受けたい方におすすめです。

活動期間

前期 2026年12月4日(金)〜2027年1月31日(日)【45日間】
【休館日】12月7日(月)、12月14日(月)、12月21日(月)、
     12月28日(月)〜1月4日(月)、1月12日(火)、
     1月18日(月)、1月25日(月)

後期 2027年2月5日(金)〜3月28日(日)【45日間】
【休館日】2月8日(月)、2月15日(月)、2月22日(月)、
     3月1日(月)、3月8日(月)、3月15日(月)、3月23日(火)

活動公開日

・下記の日程で開催するオープンスタジオに必ず参加すること。
  前期 2027年1月30日(土)、31日(日)
  後期 2027年3月27日(土)、28日(日)

支援内容

・創作室の無償利用。
・施設内の備品、駐車場の利用可。※宿泊場所の提供はありません。
・施設ウェブサイト・SNSへの情報掲載と活動情報の発信。

応募要件

・申請時点で18歳以上(高校生不可)であり、日本語での意思疎通が可能であること。
・活動期間中、積極的に創作室を利用すること。
・前期利用の方の場合、12月19日(土)に実施するオープニングセレモニーに合わせて、活動の様子を公開できること。
・オープンスタジオの日程の他にも、施設と相談してワークショップやトークイベントなど、パブリックプログラムの実施を計画してもよい。
・茨城県内もしくは近郊に居住し、施設への定期的な往来が現実的に可能であること。
・職員との必要な連絡調整が可能であり、施設ルールに沿って安全な利用が可能であること。

応募方法

応募期間内(~9月30日(水)まで)に「いばらき電子申請」下記リンクよりお申込みください。

スタジオプログラム再公募 お申込みはこちら

☆入力項目をあらかじめご準備いただくための下書き用wordファイルです。ご活用ください。

【プレ・プレイ!】スタジオ・トライアル_B再公募 [WORD形式/18.42KB]

 

審査総評

外部審査員・勝冶真美氏(滋賀県立陶芸の森)

まずは、今回の公募に応募くださったみなさんに謝意を表します。新しい施設の船出に一緒に乗り込もうと考えてくださったアーティストのみなさんの存在は、これから施設を運営していく側にとってとても心強く感じることと思います。
招聘交流プログラムでは、袁方洲さんを選出しました。袁さんは、ガラスを主な素材としながら、焼成によって変形する素材の性質を活かして制作をされています。特殊な設備を必要とすることの多い工芸素材を扱う場合、そうした設備を持たない滞在制作プログラムは困難が伴うものですが、制作環境の変化や地域の人々との交流で得られる往還を積極的に制作に取り込もうとする姿勢を評価しました。
リサーチプログラムでは、保泉エリさんと好光義也×金沢慧さんを選出しました。保泉さんは、かつて筑波山にあったという仏像についてのリサーチプロジェクトを提案されました。企画の独自性とともに、約1ヶ月という決して長くはないプログラム期間を見据えて事前準備にも言及されていたことでプロジェクトへの熱意と実現可能性を感じました。
好光さん、金沢さんの提案は、何よりも「アスリートがどのように美的判断をしているか」をリサーチするという新規性に惹かれました。今回のリサーチがどのようなものに結実するのか未知数ですが、パブリックプログラム等で積極的にそのリサーチの過程を地域の方々と共有されることを願います。
今回採択されたアーティストをはじめ、これからこの場所を使っていくアーティストや地域の方々にとって、つくばアートスタジオたみやまが、まだ見ぬ何かに出会うことのできる場であり、のびのびと表現ができるような場所になっていってほしいと思います。

外部審査員・藤本裕美子氏(アーカスプロジェクト プログラムディレクター)

筑波大学の在学生や卒業生、またつくばを活動拠点としているなど、すでに地域の景観、文化、コミュニティと豊かな関係を結んでいる人からの申請が複数あったことが印象的でした。県外のアーティストだけでなく、この地域で活動するアーティストにもひらかれている点がプログラムの特徴のひとつだと感じます。
申請書には、生態学的危機という観点から現地の植生や農業に関心を寄せるもの、筑波研究学園都市という計画都市の新陳代謝を探るもの、10年以上自身が撮り溜めてきた風景写真からまちの姿を解きほぐすもの、有名観光地である筑波山周辺の生活に目を向けるものなど、つくばを科学、政治、文化人類学的な視点で読み解こうとする多様な提案が見られ、この地の複層的な歴史を物語っていました。「招聘交流プログラム」には、ガラスという素材を用いて、人間と自然の関係や時間の経過に伴う物質の変容を探求するアーティストを、「リサーチプログラム」には、彫刻とそれを取り巻く環境への関心から筑波山神社周辺にかつてあった仏像に着目するアーティストと、アスリートの身体反応を社会的・美学的な視点で捉え作品化する試みを提案したデュオを選出しました。いずれもこれまで追求してきた自身の関心を自然に発展させながら、この場所に特有の新しい方向性を示していた点を高く評価しました。
新しく始まる本プログラムと3組のアーティストの活動が影響し合いともに発展していくことを期待しています。

 

つくば市・平野春菜(アートコーディネーター)

「つくばアートスタジオたみやま」はつくば市民とアーティストが出会う場所であり、その出会いによってお互いの創造活動がより広がっていくことが、施設の機能の一つとして重要であり期待されている点だと解釈し、オープン準備を進めています。
今回の公募プログラムはプレオープンという、施設側にとっても試行の期間が対象となりました。アーティストがどうやってこの特殊な時間と環境を使い、自身の新しい表現を追求するのか。また、たみやまを起点に、地域―社会と自身の創作を繋いでいくのか。市民にとって新たな出会いとは、どのようなものであるべきか。選考委員会では国内外数多のアーティストの創作プロセスに立ち会っている勝冶氏と藤本氏を交えながら、上記の観点について総合的な議論を行いました。今回選出された3組は高い独自性に加えて、オープンスタジオ等の活動公開の場を自らの表現へ還元していく、確かな可能性を感じさせる方々です。アーティストの活動を通して施設のポテンシャルを最大限に引き出し、「こんなに面白いことが起こる場所なのか」と感じていただけるよう、これからの時間を来館する方々と楽しく共有していきたいと思います。
そして、まだ誰も使ったことのない場所…という特殊性にも関わらず、未知なる創作環境に挑戦いただいた全ての申請アーティストの方々に心からお礼申し上げます。

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